山口貴由

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山口 貴由(やまぐち たかゆき、男性、1966年11月1日 - )は、日本の漫画家東京都出身。

経歴[編集]

高校卒業後、小池一夫主催「劇画村塾」の5期生として2年間在籍[1]。その劇画村塾の雑誌にデビュー作『NOTOUCH』を掲載。その後、1990年に「ジャックポット」誌(リイド社)に『サイバー桃太郎』を連載開始。

その後、リイド社、秋田書店白泉社の少年誌・青年誌で執筆活動をしている。代表作は『覚悟のススメ』『シグルイ』。

マカロニほうれん荘』のファンでもあり、1999年には「週刊少年チャンピオン」の特別企画の際、鴨川つばめにリメイクの許可をもらおうとしたところ、鴨川から「自由に描いてよし!」とのお墨付きを貰い、同作品のリメイクを読み切り作品として執筆している。

作風[編集]

独特なキャラクターと台詞回し、大胆な構図、止め絵の大ゴマ・アオリ文字の多用と、デビューから一貫して山口ならではの美学に貫かれた作風である。手がける作品のどれもが肉体が破壊され、内臓が飛び散るなどのグロテスクな描写がある。また、登場してすぐに死んでしまう人物でも差はあるもののナレーションなどでキャラクターの味付けを行なう。

美形キャラの印象的な長い睫毛は、山口が小学生のころに観劇した、宝塚歌劇団『ベルサイユのばら』の舞台化粧が原点になっている。登場人物のモデルは自分が実際に会った人物を元にしているが、それ以外は憧れを形にしているという。

少年誌に作品を発表していた時期のコメディ描写は、掲載誌が青年誌に移った『蛮勇引力』から急速に減り、一方性的な描写は増えている。2010年に連載が終了した『シグルイ』においては、ギャグ要素は見られない。

描いてきた主要キャラクターが着用しているアーマー類のデザインは、少年時代に見ていた「ミクロマン」などのメタルキャラクターから影響を受けたと『漫道コバヤシ』に客演した際に明かしている。

人物[編集]

本人曰く、日常生活は手抜きをしており、全ての集中力を漫画に注げられるように心がけているという。漫画家以外の仕事は考えられないとコメントしている。[要出典]

歌手・堀江美都子の熱烈なファンであり、『覚悟のススメ』でも彼女を元ネタにしたキャラクター「掘江罪子」を登場させた。後に製作されたOVA版では、堀江美都子自身により声を当てられている。また、2007年にアニメ化された『シグルイ』でも近藤涼之介の役に堀江美都子が起用されている。好きなアニメは『カムイの剣』で、堀江の声優出演もある。

公の場では、スカジャンを好んで着衣している。

作品リスト[編集]

  • NO TOUCH - 『COMIC劇画村塾』(1986年)
  • LORDLESS FENCERS - 『COMIC劇画村塾』(1986年 - 1987年)
  • 陀羅尼クン - 『COMIC劇画村塾』(1987年)、原作:小池一夫
  • THE SMASHERS - 『COMIC劇画村塾』(1987年)
  • バーミン - 『COMIC劇画村塾』(1987年)
  • そして次の朝を待つ - 『COMIC劇画村塾』(1988年)
  • 高校生 異種格闘技戦 - 『COMIC劇画村塾』(1988年)
  • 吉田事件 - 『COMIC劇画村塾』(1988年)
  • 螺旋状の秘密 - 『COMIC劇画村塾』(1988年)
  • 変化御用 はらら - 『コミックHAL』(1989年)
  • 変化御用 はらら - 『ヤングシュート』(1989年)
    • 『コミックHAL』掲載分とは異なるエピソード
  • サイバー桃太郎 - 『ジャックポット』(1990年)
  • (新)サイバー桃太郎 - 『ジャックポット』(1991年)
  • 平成武装正義団 - 『ジャックポット』(1992年)
  • 愛のうさぎ戦士 - 『ジャックポット』(1992年)
  • 炎のうさぎ戦士 - 『ジャックポット』(1992年)
  • 悪鬼御用ガラン - 『ジャックポット』(1993年)
  • 覚悟のススメ - 『週刊少年チャンピオン』(1994年 - 1996年)
  • 覚悟のススメ特別編「絶頂天狗の巻」 - 『週刊少年チャンピオン』(1996年)
  • 覚悟のススメ特別編「強化外骨格・雫の巻」 - 『週刊少年チャンピオン』(1996年)
  • 首をはねろ! - THE MANHUNTERS - 『週刊少年チャンピオン』(1997年)
  • みな殺しのアモール - THE MANHUNTERS 2 - 『週刊少年チャンピオン』(1997年)
  • 十五歳の覚悟 - 『週刊少年チャンピオン』(1997年)
    • 「覚悟のススメ特別編」2話、「THE MANHUNTERS」2話、「十五歳の覚悟」は、後に『銃声の子守唄』というタイトルで一つの作品集にまとめられている。
  • 悟空道 - 『週刊少年チャンピオン』(1997年 - 2000年)
  • マカロニほうれん荘 - 『週刊少年チャンピオン』(1999年)、原作:鴨川つばめ
    • 『週刊少年チャンピオン』での企画作品。
  • 蛮勇引力 - 『ヤングアニマル』(2001年 - 2002年)
  • シグルイ - 『チャンピオンRED』(2003年 - 2010年)、原作:南條範夫
  • エクゾスカル 零 - 『チャンピオンRED』(2010年 - 2015年)
  • 開花のススメ - 『チャンピオンRED いちご』(2011年10月05日 (Vol.28) - 2013年12月5日(2014年Vol.41))、作画:苺野しずく
  • 魔剣豪画劇 - 『コミック乱ツインズ 戦国武将列伝』(2013年 - 2014年)
  • 衛府の七忍 - 『チャンピオンRED』(2015年 - 2020年)
  • 劇光仮面 - 『ビッグコミックスペリオール』(2021年[2][3] - )

カバーイラスト[編集]

イベント[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 山口貴由が板垣恵介に出会った当時の印象は「矢沢永吉をベースにした人」”. ナタリー (2019年7月15日). 2021年5月25日閲覧。
  2. ^ ビッグコミックスペリオール第1号”. ビッグコミックBROS.NET. 小学館. 2021年12月10日閲覧。
  3. ^ “「シグルイ」山口貴由がスペリオールに登場、新連載「劇光仮面」開幕”. コミックナタリー (ナターシャ). (2012年12月10日). https://natalie.mu/comic/news/457051 2021年12月10日閲覧。 
  4. ^ 山口貴由、東哲一郎のボイトレ本「マッスルボイトレ」でカバーイラスト担当”. ナタリー (2018年11月20日). 2021年5月25日閲覧。
  5. ^ 山口貴由の初原画展は鬼半端ねぇ!「『衛府の七忍』とその系譜」大阪で開催”. ナタリー (2018年7月30日). 2021年5月25日閲覧。