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「厚生年金」の版間の差分

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'''厚生年金'''(こうせいねんきん)は、民間のサラリーマンが加入する年金制度である。
'''厚生年金保険'''(こうせいねんきんほけん、通称「'''厚生年金'''」)は、民間のサラリーマンが加入する[[年金]]制度である。


[[サラリーマン]](被雇用者)は[[2004年]]現在、収入の約13%を保険料として負担する。 そのうちの半分は[[企業]](雇用者)が負担するので、サラリーマンが実際に支払うのは収入の約6%である。 厚生年金は[[国民年金]]に相当する固定費部分と報酬比例部分に分けられるが、保険料がどのような割合でそれぞれに振り分けられているかは明らかでない。 厚生年金保険は、法人事業所は強制加入、つまり、必ず加入することが求められる。 ただし、殆ど皆無に営業していない会社、又は有限会社形態などの農業法人は必ずしも加入の義務があるわけではない。 個人事業形態においても、常時使用する労働者が5人に達すれば強制加入となる。 5人未満でも、労働者の要求や事業主の同意があれば、加入することが出来る。 このことを「任意加入被保険者制度」という。 ただし、個人事業の場合はいずれの場合も個人事業主は厚生年金保険は加入できない。
[[サラリーマン]](被雇用者)は[[2004年]]現在、収入の約13%を保険料として負担する。 そのうちの半分は[[企業]](雇用者)が負担するので、サラリーマンが実際に支払うのは収入の約6%である。 厚生年金は[[国民年金]]に相当する固定費部分と報酬比例部分に分けられるが、保険料がどのような割合でそれぞれに振り分けられているかは明らかでない。 厚生年金保険は、法人事業所は強制加入、つまり、必ず加入することが求められる。 ただし、殆ど皆無に営業していない会社、又は有限会社形態などの農業法人は必ずしも加入の義務があるわけではない。 個人事業形態においても、常時使用する労働者が5人に達すれば強制加入となる。 5人未満でも、労働者の要求や事業主の同意があれば、加入することが出来る。 このことを「任意加入被保険者制度」という。 ただし、個人事業の場合はいずれの場合も個人事業主は厚生年金保険は加入できない。
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*[http://www.mhlw.go.jp/ 厚生労働省] (Ministry of Health ,Labour and Welfare)
*[http://www.mhlw.go.jp/ 厚生労働省] (Ministry of Health ,Labour and Welfare)
*[http://www.sia.go.jp/ 社会保険庁] (Social Insurance Agency)
*[http://www.sia.go.jp/ 社会保険庁] (Social Insurance Agency)

[[category:保険|こうせいねんきん]]

2004年11月30日 (火) 01:29時点における版

厚生年金保険(こうせいねんきんほけん、通称「厚生年金」)は、民間のサラリーマンが加入する年金制度である。

サラリーマン(被雇用者)は2004年現在、収入の約13%を保険料として負担する。 そのうちの半分は企業(雇用者)が負担するので、サラリーマンが実際に支払うのは収入の約6%である。 厚生年金は国民年金に相当する固定費部分と報酬比例部分に分けられるが、保険料がどのような割合でそれぞれに振り分けられているかは明らかでない。 厚生年金保険は、法人事業所は強制加入、つまり、必ず加入することが求められる。 ただし、殆ど皆無に営業していない会社、又は有限会社形態などの農業法人は必ずしも加入の義務があるわけではない。 個人事業形態においても、常時使用する労働者が5人に達すれば強制加入となる。 5人未満でも、労働者の要求や事業主の同意があれば、加入することが出来る。 このことを「任意加入被保険者制度」という。 ただし、個人事業の場合はいずれの場合も個人事業主は厚生年金保険は加入できない。

一般の労働者に対する厚生年金の起源は第二次世界大戦下の1942年に施行された「労働者年金」制度だが、これについては手っ取り早い戦費調達手段として導入されたとも見られている。

厚生年金制度の現状

自由民主党公明党による与党年金制度改革協議会は、2004年2月4日に厚生年金保険料の引き上げについて合意文書を交わした。
厚生年金保険料を毎年0.354%(労使折半)ずつ引き上げ、2017年度には年収の18.30%(労使折半)まで引き上げられる。 現行は年13.58%(労使折半)である。 2004年10月から13年間で、段階的に4.72%引き上げられる。
平均年収約570万円とした場合、ボーナス含めて年間52万1550円となり、13万4000円余りの負担増額となる。
厚生年金の支給額については、現役世代(働いている時)の平均収入の50%以上の水準を確保するという。 しかし、これに該当するのは40年間保険料を払い続けるモデル世帯だけである。

年齢別の保険料負担と年金給付額についての推計

厚生労働省は、2004年2月23日、国会に提出している年金改革案関連法案に基づきを公表した。

世代格差鮮明(厚生労働省推計)
2005年の年齢保険料(万円)給付(万円)倍率備考
70歳(1935年生まれ) 6705,5008.3※モデル世帯の夫婦が
それぞれの平均年齢まで
年金を受給した場合。
金額は、物価上昇率で
現在の価値を換算。
保険料は本人負担分。
端数処理のため倍率が
異なることがある。
60歳(1945年生まれ)1,1005,1004.6
50歳(1955年生まれ)1,6005,1003.2
40歳(1965年生まれ)2,2005,9002.7
30歳(1975年生まれ)2,8006,7002.4
20歳(1985年生まれ)3,3007,6002.3
10歳(1995年生まれ)3,7008,5002.3
0歳(2005年生まれ)4,1009,5002.3
世帯タイプ別の年金額と給付水準の試算
 
現在の受給者
2025年度からの受給者
&nbsp現役時の平均
手取り収入
世帯の年金額
と給付水準
現役時の平均
手取り収入
世帯の年金額
と給付水準
①夫は40年間就労
妻は専業主婦
39.3万円23.3万円
(59.3%)
47.2万円23.7万円
(50.2%)
②40年間夫婦で
共働き
63.8万円29.6万円
(46.4%)
76.6万円30.1万円
(39.3%)
③夫は40年間就労
妻は子育て後に再就職
55.3万円27.4万円
(49.6%)
66.4万円27.9万円
(42.0%)
④夫は40年間就労
妻は出産後に専業主婦
43.4万円24.4万円
(56.1%)
52.1万円24.8万円
(47.5%)
⑤男性独身者が
40年間就労
39.3万円16.7万円
(42.5%)
47.2万円17万円
(36.0%)
⑥女性独身者が
40年間就労
24.5万円12.9万円
(52.7%)
29.4万円13.1万円
(44.7%)
※手取り収入は、世帯の合計で、ボーナスを含めた月額換算。
2025年の金額は現在の価値に換算。( )内は給付水準。


厚生年金保険法

(昭和二十九年五月十九日法律第百十五号)
最終改正:平成一五年五月三〇日法律第五四号
第一条  この法律は、労働者の老齢、障害又は死亡について保険給付を行い、労働者及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とし、あわせて厚生年金基金がその加入員に対して行う給付に関して必要な事項を定めるものとする。
(管掌)
第二条  厚生年金保険は、政府が、管掌する。
(年金額の改定)
第二条の二  この法律による年金たる保険給付の額は、国民の生活水準、賃金その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、速やかに改定の措置が講ぜられなければならない。

厚生年金保険法の改正

2004年2月10日に閣議決定された厚生年金保険法の主要な条項は次の通りである。

三十四条の改正 政府は政令で年金給付額を調整する期間を定める。調整期間の年金額再評価改定は、原則として名目手取り賃金変動率に調整率をかけた率を基準とする。
四十三条の改正 年金の受給権者が六十五歳に達した以降の年金額再評価率は、原則として物価変動率を基準とする。
八十一条の改正 厚生年金保険料率は2004年から毎年、0.354%ずつ引き上げ、2017年9月以降、18.30%とする。
二十六条、八十一条の改正 三歳未満の子どもを育てる厚生年金加入者の月額賃金が、子育て以前の月額賃金を下回った場合は、以前の賃金を年金額計算の基礎とする。
三歳未満の子どもを育てる厚生年金加入者の育児休業期間について保険料を免除する。2005年4月1日から実施する。
四十六条の改正 七十歳以上で在籍者への厚生年金支給額について、賃金に応じて全部又は一部を支給停止する。2007年4月から実施する。
六十三条の改正 三十歳未満で遺族厚生年金の受給権を得た妻は、五年を経過すると受給権が無くなる。中高齢寡婦加算支給要件を見直す。2007年から実施する。
付則十一条などの改正 六十五歳未満で在職者への厚生年金支給額について、二割停止する現行方式を改める。

三章の改正 離婚した場合、厚生年金の分割割合で合意しているか、裁判所の決定があれば、厚生年金の分割を請求するできる制度を創設する。2007年4月から導入する。

年金種類・年金積立金等

年金の種類
             厚生年金基金共済年金(職域加算)
            国民年金基金厚生年金共済年金
国民年金(基礎年金)
  • しばしば、厚生年金と比較して共済年金(公務員を対象としている)の給付水準が高いことが批判の対象となるが、上図を見れば明らかで、厚生年金でいうところの「厚生年金基金」を合わせて掛けているのと同じことであるから、水準が高いことは現制度上ではある意味当然とも言え、批判はあたらない。(厚生年金基金も共済年金の職域加算も使用者、労働者各々が保険料負担をしている。)
    ただ、今後もこのような高水準の制度を維持すべきかどうかは、厚生年金基金制度も含めて検討する必要がある。

厚生年金の加入者数・受給者数・積立金等
加入者数受給者数年度
3265万1000人1191万1000人1993年度末
積立金約91兆1134億円1992年度まで

関連項目

外部リンク