レッキゾウ

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レッキゾウ
骨格復元図
骨格復元図
復元イラスト
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地質時代
鮮新世後期 - 更新世前期
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 長鼻目 Proboscidea
: ゾウ科 Elephantidae
: パレオロクソドン属
Palaeoloxodon
: レッキゾウ P. recki
学名
Palaeoloxodon recki
(Dietrich1915)
シノニム
  • Elephas antiquus recki Dietrich, 1915
  • Elephas recki
和名
レッキゾウ[1][2]
亜種
  • P. recki atavus
  • P. recki brumpti
  • P. recki ileretensis
  • P. recki illertensis
  • P. recki recki
  • P. recki shungurensis

レッキゾウ (Palaeoloxodon recki、もしくはElephas recki[3])は、新生代鮮新世後期から更新世前期にかけてのアフリカ大陸に生息した、絶滅したゾウの一である。長鼻目ゾウ科に属し、ナウマンゾウと同じくパレオロクソドンPalaeoloxodon)属とする説が有力であるが、現生のアジアゾウと同のエレファス(Elephas)属とする説もある[4]

分布[編集]

アフリカ大陸東部に分布していた。ケニアタンザニアなどから化石が産出。ほぼ完全な骨格がケニアの東トゥルカナより発見されている[5]

形態[編集]

大型のものは肩高4.5mとアフリカゾウをしのぐ大きさとなる[5][6]。前肢が長く、背中はやや後傾する。頭部及びは、体全体に比して小さい。頭骨はアジアゾウに似て高さがあり前後に短い形態であるが[7]、この種で特徴的なのは、前頭部がドーム状に膨らみ[8]眼窩の位置が下がっている[5]臼歯は高歯冠で、後の亜種になるほど顕著である[9]

分類[編集]

原記載ではアンティクースゾウP. antiquusの亜種(Elephas antiquus recki)とされ、のちにアンティクースゾウやナウマンゾウなどの祖先種として考えられるようになった[1]。年代によって変異があり、進化段階に応じて5亜種に区別されているが、2000年代以降の研究ではこれらの亜種は多系統的であり複数種に分けられることが示唆されている[1][2]

生態[編集]

食性は植物食。臼歯は高歯冠であるが、これは硬い植物を噛み砕く事に適応した結果である。レッキゾウの初期から末期に至る一連の個体から、その経過を見ることができる[9]

氾濫原などに生息したと推定されている[10]

脚注[編集]

  1. ^ a b c 三枝春生「日本産化石長鼻類の系統分類の現状と課題」『化石研究会会誌』第38巻、化石研究会、2005年、78–89頁。
  2. ^ a b 高橋啓一「ナウマンゾウ研究百年」『琵琶湖博物館研究調査報告』第35巻、滋賀県立琵琶湖博物館、2022年、1-253頁。
  3. ^ Larramendi, Asier; Zhang, Hanwen; Palombo, Maria Rita; Ferretti, Marco P. (2020-02-01). “The evolution of Palaeoloxodon skull structure: Disentangling phylogenetic, sexually dimorphic, ontogenetic, and allometric morphological signals” (英語). Quaternary Science Reviews 229: 106090. doi:10.1016/j.quascirev.2019.106090. ISSN 0277-3791. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0277379119302690. 
  4. ^ Manthi, Fredrick Kyalo; Sanders, William J.; Plavcan, J. Michael; Cerling, Thure E.; Brown, Francis H. (2020-09-01). “Late Middle Pleistocene Elephants from Natodomeri, Kenya and the Disappearance of Elephas (Proboscidea, Mammalia) in Africa” (英語). Journal of Mammalian Evolution 27 (3): 483–495. doi:10.1007/s10914-019-09474-9. ISSN 1573-7055. https://doi.org/10.1007/s10914-019-09474-9. 
  5. ^ a b c 『アフリカの哺乳類』 106頁
  6. ^ Larramendi, Asier (2015). “Proboscideans: Shoulder Height, Body Mass and Shape” (英語). Acta Palaeontologica Polonica. doi:10.4202/app.00136.2014. ISSN 0567-7920. https://doi.org/10.4202/app.00136.2014. 
  7. ^ 『アフリカの哺乳類』 104頁
  8. ^ 『アフリカの哺乳類』 104, 106頁
  9. ^ a b 『アフリカの哺乳類』 103頁
  10. ^ 『アフリカの哺乳類』 198頁

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  • Alen Turner、Mauricio Anton 著、富田幸光 訳『アフリカの哺乳類 : その進化と古環境の変遷』丸善、2007年、101 - 108, 178, 198頁頁。ISBN 978-4-621-07834-1