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ドラム・ビート

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
8ビートから転送)

ドラムビート (drum beat) は、音楽においてドラムセットやその他の打楽器を用いて表現されるリズムパターンのことである。ドラムパターン (drum pattern)、グルーヴ(Groove) とも呼ばれる。

概要[編集]

西洋音楽において音楽の三要素とは旋律(メロディ)、和声(ハーモニー)、律動(リズム)だが、現代ポピュラー音楽では、このうちの拍節(リズム)と節回しを強調して演奏し、グルーヴと称してその躍動感を楽しむ。音楽でグルーヴを楽しむ流れは、黒人の音楽から来ているとされている。

基本的なドラムビートの多くは、細分化された音符(サブディビジョン)をライドシンバルまたはハイハットシンバルで提示しながら、ベースドラム(オンビート)とスネアドラム(オフビート)のストロークを交互に行うことで拍節を確立する[要出典]

ドラムビートには様々な種類があり、各々の楽曲も様々なスタイルを取り込んでいて一様ではないが、主に以下のように分けられる。

2フィール[編集]

  • 2フィール(トゥーフィール)とは、ドラムビートの態様の1つで、2分音符、または2拍子を基本単位としたスタイル。伝統的な行進曲、ラグタイム(2/4拍子)、ジャズブルースなど幅広く使われている。
  • 2フィールのパターン例

4フィール[編集]

  • 4フィール(フォーフィール)とは、ドラムビートの態様の1つで、4/4拍子で4分音符を基本単位としたスタイル。2拍目と4拍目にアクセントをおくバックビートのスタイルを持つ。ジャズブルースなど幅広く使われる。4分音符を分けた3連符がリズムの基本に流れている。ベースとなる音の数は少なく、センスで音を打っていく。楽譜の記述上、ライドシンバルまたはクローズドハイハットの演奏の2拍目と4拍目は8分音符、または付点8分音符と16分音符の組み合わせで記述することが多いが、実際の音は3連符の真ん中を抜いたものである[1]。4フィールのベースプレイでは、4分音符を上下させるウォーキング・ベース英語版が基本となる。
  • 4フィールのパターン例

8ビート[編集]

  • 8ビート(エイトビート)とは、ドラムビートの態様の1つで、4/4拍子を8分音符によって細分化したスタイル。2拍目と4拍目にアクセントをおくバックビートのスタイルを持ち、ロックをはじめ、多くの現代ポピュラー音楽で使われているスタイル[2]
  • 8ビートのパターン例

16ビート[編集]

  • 16ビート(シックスティーンビート、じゅうろくビート)とは、ドラムビートの態様の1つで、4/4拍子を16分音符によって細分化したスタイル。2拍目と4拍目にアクセントをおくバックビートのスタイルを持つ。ジャズとロックが融合して、1960年代後半に生まれたとされる[3]フュージョンのスタイル。ベースとなる音の数が多いので、ドラムスの演奏では難易度は高い[3]
  • 16ビートのパターン例

ハーフタイム[編集]

  • ハーフタイムとは、各音符の音価を倍の長さで演奏することで、1/2倍速の流れを感じさせる手法。ポピュラー音楽の幅広いジャンルで使われる。通常のドラムビートからハーフタイムへと移行することで音楽的な効果を発揮することが多い。
ハーフタイム: スネアが1小節目と2小節目の3拍目(3拍目と7拍目)に移動し、ハイハットは4分音符で演奏される。ここでの2分音符は、2小節による大きな流れの中で4分音符のように聴こえる。[要出典]

ダブルタイム[編集]

ダブルタイム: スネアが"&"に移動し、ハイハットは16分音符で演奏される。ここでの8分音符は、2拍の小さな流れの中で4分音符のように聴こえる。[要出典]
  • スラッシュビートのパターン例
Slash Metal Drum Beat

ブラストビート[編集]

  • ブラストビートとは、ベースドラムとスネアドラムによる拍節を8分音符または16分音符に置き換えたもの。エクストリームメタルのジャンルおいて用いられる。
Blast Beat(Traditional)
Blast Beat(Hammer)

3連符のドラムビート[編集]

  • 3連符のドラムビートは、ドラムビートの態様の1つで、4/4拍子を3連符によって細分化したスタイル。2拍目と4拍目にアクセントをおくバックビートのスタイルを持つ。ブルースをはじめ、多くの現代ポピュラー音楽で使われているスタイル。

12/8拍子としての表記[編集]

  • 3連符のドラムビートは、12/8拍子として表記されることも多い。各小節は4つの付点4分音符で構成され、ハイハットシンバルは3つの8分音符に分割される。
  • 3連符のドラムビートと同一のテンポで演奏される場合、聴感上の違いはない。ただし、比較的ゆったりとしたテンポで8分音符を強調して演奏する場合に、12/8拍子を用いることが多い。

3/4拍子、6/8拍子のドラムビート[編集]

3 4 Basic Drum Beat
3 4 Waltz Drum Beat
  • 6/8拍子のドラムビートは、各小節は2つが付点4分音符で構成され、ハイハットシンバルは3つの8分音符に分けられる。ゴスペル音楽バラードなど一部のポピュラー音楽において用いられるスタイル。
6 8 Drum Beat
  • 3/4拍子、6/8拍子のドラムビートは1小節の長さが同じであるが、拍節の数、細分化した音符の鳴らし方などから、それぞれ違ったスタイルのものとして演奏される。

英語表記について[編集]

  • 8ビート、16ビートといった表現は和製英語であり、英語圏では通用しない。英語では4ビートを「Swing Beat[4]」など、8ビートを「8th note Groove[5]」「8th note beats[6]」などと呼ぶ。バリエーションとして、特徴的な楽器や、そのビートが使われる代表的なジャンルを表す語(“Tom Tom” や “Rock” など)が付け足される場合もある。[6]

脚注[編集]

  1. ^ YAMAHAドラムス教則本『TRY-V』 1979 pp.82,78.
  2. ^ YAMAHAドラムス教則本『TRY-V』 1979 p.64.
  3. ^ a b YAMAHAドラムス教則本『TRY-V』 1979 p.72.
  4. ^ Maroni, Joe (2008). Introduction To Swing-Style Drumming.. Mel Bay Publications, U.S. ISBN 978-1-61065-283-4. OCLC 1100913167. https://www.worldcat.org/oclc/1100913167 
  5. ^ Scott, Justin (2009-01-23) (英語). Drummers Bible. Chartwell Books. ISBN 9780785823643. https://books.google.co.jp/books?id=86KCCwAAQBAJ 
  6. ^ a b Michalkow, Mike (2008-10-01) (英語). The Total Rock Drummer: A Fun and Comprehensive Overview of Rock Drumming. Alfred Music Publishing. ISBN 9780739052686. https://books.google.co.jp/books?id=CXKtbG4r4g8C 

参考文献[編集]

  • YAMAHAドラムス教則本『TRY-V』猪俣猛 1979年(昭和54年)
  • 中央アート出版社『リズムに強くなるための全ノウハウ』市川宇一郎 ISBN 978-4-8136-0405-1 2007年(平成19年)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]