ディストリクト線

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ディストリクト線
ラインカラー
開業年 1868年
地下区間の工事方式
車両 S7形(7両)
駅数 60
路線営業長 64 km (40 mile)
車両基地 ハマースミス
乗客数 188,000,000人(2002) (年間)
ロンドン交通局鉄道路線
ロンドン地下鉄路線
  ベーカールー線
  セントラル線
  サークル線
  ディストリクト線
  ハマースミス&シティー線
  ジュビリー線
  メトロポリタン線
  ノーザン線
  ピカデリー線
  ヴィクトリア線
  ウォータールー&シティー線
その他の鉄道路線
  ドックランズ・ライト・レイルウェイ
  トラムリンク
  ロンドン・オーバーグラウンド
ディストリクト線中心駅のアールズ・コート駅
エッジウェア・ロード支線のパディントン駅。サークル線と線路・ホームを共有し、同じホームに発着する。
イーリング・コモン駅はディストリクト線とピカデリー線が同じホームに発着する唯一の駅である。

ディストリクト線 (ディストリクトせん、英語: District Line) はロンドン地下鉄の路線の一つである。地下鉄路線図の案内上では緑色に着色されている。全長64kmで60の駅があり、うち25の駅が地下駅である。

表層から浅い部分を走る路線で、ロンドンの中心部の地下を通過する。一年で約1億7287万9000人もの乗客が利用し、ロンドン地下鉄の路線の中では最も利用客の多い路線、ロンドンの交通ネットワーク全体では4番目に利用客の多い路線である。

歴史[編集]

ディストリクト線は長い歴史をもつ。この路線はメトロポリタン・ディストリクト鉄道 (MDR) によって建設され、1868年に開業した。後にMDRはチャールズ・ヤーキスというアメリカ人に購入され、1930年代に国有化されるまでの間、地下鉄グループの一部を構成した。

ディストリクト線はアックスブリッジ駅とハウンズロウ・ウェスト駅までの間についても支線を有していたが、これらは両方とも現在はピカデリー線に組み込まれている。

東方面の路線は1910年6月1日から、エセックスの海沿いの街であるサウスエンド・オン・シーまで運転するようになる。1911年にはその先のen:Shoeburynessまで延伸され、1939年9月30日まで運行された。また、1883年3月1日から1885年9月30日の間は、イーリング・ブロードウェイ駅からグレート・ウェスタン本線直通運転し、ウィンザーまで運転されていた。

路線と駅一覧[編集]

路線[編集]

リッチモンド支線
イーリング支線
イーリング・ブロードウェイ駅ターナム・グリーン駅アールズ・コート駅
ウィンブルドン支線
  • ウィンブルドン駅~アールズ・コート駅
    ウィンブルドン支線はアールズ・コート駅の西で本線に合流する。
ケンジントン(オリンピア)支線
  • ケンジントン(オリンピア)駅~アールズ・コート駅
    ケンジントン(オリンピア支線)の列車はアールズ・コート駅の西で本線に合流する。通常この支線の列車はエッジウェア・ロード支線の方へ運行される。
本線
エッジウェア・ロード支線

路線図[編集]

Geographically accurate path of the District line
Geographically accurate path of the District line

駅一覧[編集]

上を西側、下を東側として表記する。

駅名 日本語訳 運行系統 および
路線共有・並走路線
乗換え路線
Richmond リッチモンド駅 ナショナル・レール
Kew Gardens キュー・ガーデンズ駅
Gunnersbury ガナズベリー駅 オーバーグラウンド
ノースロンドン線
Ealing Broadway イーリング・ブロードウェイ駅 セントラル線
Ealing Common イーリング・コモン駅
ピカデリー線
アックスブリッジ支線)
Acton Town アクトン・タウン駅
ピカデリー線
ヒースロー支線)
Chiswick Park チズウィック・パーク駅
Turnham Green ターナム・グリーン駅
Stamford Brook スタンフォード・ブルック駅
Ravenscourt Park ラベンズコート・パーク駅
Hammersmith ハマースミス駅 ハマースミス&シティー線
Baron's Court バロンズ・コート駅
West Kensington ウェスト・ケンジントン駅
   
Wimbledon ウィンブルドン駅 ナショナル・レール・トラムリンクルート3
Wimbledon Park ウィンブルドン・パーク駅
Southfields サウスフィールズ駅
East Putney イースト・パットニー駅
Putney Bridge パットニー・ブリッジ駅
Parsons Green パーソンズ・グリーン駅
Fulham Broadway フラム・ブロードウェイ駅
West Brompton ウェスト・ブロンプトン駅 ナショナル・レール・オーバーグラウンド
ウェスト・ロンドン線
∥   
Kensington (Olympia) ケンジントン(オリンピア)駅 ナショナル・レール・オーバーグラウンド
ウェスト・ロンドン線
Earl's Court アールズ・コート駅 ●  
High Street Kensington ハイ・ストリート・ケンジントン駅
サークル線(分岐)
Notting Hill Gate ノッティング・ヒル・ゲート駅 セントラル線
Bayswater ベイズウォーター駅
Paddington パディントン駅  
ハマースミス&シティー線
ベーカールー線
ナショナル・レール
Edgware Road エッジウェア・ロード駅 ■   ●   サークル線
ハマースミス&シティー線
   
Gloucester Road グロースター・ロード駅
サークル線(分岐)
South Kensington サウス・ケンジントン駅 ピカデリー線(分岐)
Sloane Square スローン・スクウェア駅
Victoria ヴィクトリア駅 ヴィクトリア線
ナショナル・レール
St. James's Park セント・ジェームズ・パーク駅
Westminster ウェストミンスター駅 ジュビリー線
Embankment エンバンクメント駅 ベーカールー線・
ノーザン線、
ナショナル・レール(チャリング・クロス駅接続)
Temple テンプル駅
Blackfriars ブラックフライアーズ駅
Mansion House マンション・ハウス駅
Cannon Street キャノン・ストリート駅 ナショナル・レール
Monument モニュメント駅 セントラル線・
ウォータールー&シティー線
ノーザン線・
ドックランズ・ライト・レイルウェイ(バンク駅)
Tower Hill タワーヒル駅 サークル線(分岐)、
ドックランズ・ライト・レイルウェイ(タワー・ゲイトウェイ駅)、
ナショナル・レール(フェンチャーチ・ストリート駅
Aldgate East アルドゲイト・イースト駅
ハマースミス&シティー線(分岐)
Whitechapel ホワイトチャペル駅   イーストロンドン線
Stepney Green ステップニー・グリーン駅   セントラル線
Mile End マイルエンド駅  
Bow Road ボウ・ロード駅   ドックランズ・ライト・レールウェイ
(ボウ・チャーチ駅)
Bromley-by-Bow ブロムリー・バイ・ボウ駅  
West Ham ウェストハム駅   ジュビリー線、ナショナル・レール
Plaistow プライストウ駅  
Upton Park アプトンパーク駅  
East Ham イーストハム駅  
Barking バーキング駅   オーバーグラウンド・ナショナス・レール
Upney アップニー駅  
Becontree ベコンツリー駅  
Dagenham Heathway ダゲンハム・ヒースウェイ駅  
Dagenham East ダゲンハム・イースト駅  
Elm Park エルム・パーク駅  
Hornchurch ホーンチャーチ駅  
Upminster Bridge アップミンスター・ブリッジ駅  
Upminster アップミンスター駅   ナショナル・レール

廃止[編集]

車両[編集]

ディストリクト線では全列車がS7形で運転されており、サークル線及びハマースミス&シティ線と共通運用となっている。かつてはD78形及びC69・C77形が用いられていたが、それぞれ2017年2014年全廃された。ハイ・ストリート・ケンジントン駅からエッジウェア・ロード駅までの間の駅はプラットホーム有効長が短いため、最後部の車両でドアカットが行われる。

現在の運行系統[編集]

日中時間帯のディストリクト線の運行系統は以下の通り。なお、本数は1時間あたりのもの。

  • 6本 イーリング・ブロードウェイ駅 - タワーヒル駅
  • 6本 リッチモンド駅 - アップミンスター駅
  • 6本 ウィンブルドン駅 - アップミンスター駅
  • 6本 ウィンブルドン駅 - エッジウェア・ロード駅
  • 3本 ケンジントン(オリンピア)駅 - ハイ・ストリート・ケンジントン駅

他の利用可能路線[編集]

c2c(ナショナル・レールのひとつ)もまた、アップミンスター駅、バーキング駅、ウェストハム駅、フェンチャーチ・ストリート駅(タワーヒル駅に至近)の間を結んでいる。オイスターカードならばc2cのルートも利用可能である。また、サウスウェスト・トレインズはウィンブルドン支線のイースト・プットニー駅とウィンブルドン駅の間に、本来走行する線路に工事か問題があった際に列車を走らせることがある(ただし中間駅を通過する)。

フィクションにおける登場[編集]

BBCの連続テレビドラマ『Eastenders』に登場する架空の駅であるウォルフォード・イースト駅(Walford East station)はディストリクト線にあることになっている。撮影ではブロムリー・バイ・ボウ駅(Bromley-by-Bow station)が用いられている。

外部リンク[編集]

西: テムズ川との交差 東:
キュー橋
Kew Bridge
リッチモンド支線
ガンナーズブリー駅・
キュー・ガーデンズ駅間
チスウィック橋
Chiswick Bridge
プットニー橋
Putney Bridge
ウィンブルドン支線
プットニー・ブリッジ駅・
イースト・プットニー駅間
ワンズワース橋
Wandsworth Bridge