スウェーデン軍

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国防軍
Försvarsmakten
スウェーデン軍の紋章
スウェーデン軍の紋章(公式)
War flag of Sweden
スウェーデンの軍旗軍艦旗
創設 1521年 (503年前) (1521)
再組織 1975年
派生組織 Coat of arms of the Swedish Army 陸軍
Coat of arms of the Swedish Navy 海軍
Coat of arms of the Swedish Air Force 空軍
Coat of arms of the Home Guard 郷土防衛隊
本部 ストックホルム
指揮官
行政官庁 スウェーデン政府(第二次ロベーン内閣)
国防大臣 Peter Hultqvist
統合参謀総長 Jonas Haggren海軍中将
最高司令官 Micael Bydén陸軍大将
長官 Peter Sandwall
総人員
兵役適齢 16–70[1]
適用年齢 18–47
-適齢総数
(2017年度)
男性 3,020,782、年齢 18–47
女性 2,760,451、年齢 18–47
-実務総数
(2017年度)
男性 1,980,592、年齢 18–47
女性 1,649,875、年齢 18–47
-年間適齢
到達人数
(2017年度)
男性 58,937
女性 56,225
現総人員 22,500[2]
財政
予算 606億クローナ(約72億ドル)(2019年)[3]
軍費/GDP 1.1% (2019年)[4]
産業
国内供給者 BAE システムズ AB英語版
サーブ・ボフォース・ダイナミクス英語版
SAAB
関連項目
歴史 スウェーデンの軍事史英語版
スウェーデン軍の階級
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スウェーデン国防軍(スウェーデンこくぼうぐん、スウェーデン語: Försvarsmakten、国防軍)[5]は、スウェーデンが保有する軍隊である。

陸軍: Armén)・海軍: Marinen)・空軍: Flygvapnet)の三軍に加え、補助組織の郷土防衛隊: Hemvärnet–nationella skyddsstyrkorna)で構成されており、国防省に所属する。

概要[編集]

スウェーデンはこれまで非同盟中立の立場をとっていたが、ロシアのウクライナ侵攻を受け、NATOへの加盟が2024年2月に正式承認された。

兵器の国産にも熱心で独自の潜水艦戦闘機戦闘車両などを開発し配備している。そのため、軍事費、兵器生産などは自国で負担する。近年は、軍事予算は削減しているが、規模は維持している。その背景には、ロシアなど東欧を中心とした政治的な不安定さがある。

スウェーデンの総人口は約900万人ほどと、ニューヨーク市東京23区程度にとどまるので、三軍の正規軍の規模はそれほど巨大ではない。しかし、2010年7月1日には男子に対する兵役の義務が正式に廃止されたが、郷土防衛隊は3万以上を保有している[要出典]また実戦部隊は11万人おり、予備役は30万人にも及ぶ(2001年[要出典]GDPに占める軍事支出は2%であり、冷戦終結後の主要先進国としてはやや高い割合である。徴兵制度を課していた時代には、良心的兵役拒否が合法化されており、代替役務が制度化されていた。現在の軍の課題としては、急速にその規模を縮小させられているにもかかわらず、海外派遣任務については変わらないか、むしろ増加していることによって、兵士の遣り繰りが困難になってきているという状態にある。

2010年度より正規兵+義勇軍(志願兵)で構成されているが、義勇軍が予定されていた人数を下回る事と質の低下により、2018年1月から徴兵制が復活した(18歳以上の男女、年4000人が対象)[6]

歴史[編集]

スウェーデン国防軍最高司令官の日本訪問。

近世までのスウェーデンは軍事国家であり、欧州に覇を競う列強の一員として、17世紀から18世紀初頭にかけては軍事技術をリードする立場であった。特に、ドイツにおける三十年戦争で武名を馳せ、自らも戦場に散ったスウェーデン国王グスタフ・アドルフは、軍事革命の立役者の一人である。

18世紀の大北方戦争では緒戦こそ優勢であったが最終的にはロシア帝国などに敗北し、それ以降のスウェーデンは海外進出をあきらめて自国の国土防衛に専念するようになる。ナポレオン戦争では反フランス陣営に与してフィンランドを失陥するが、ナポレオン戦争終結後に現在のベルナドッテ王朝が成立し、それ以後はヨーロッパの大戦争に関与することなく武装中立中立主義)を掲げて今日に至る。だがスウェーデンは、中立を前提としながらもフィンランドに名目的な義勇軍としての正規軍将兵を派遣していたこともあった。

第一次世界大戦第二次世界大戦はもとより、戦後の冷戦においても中立を維持し、北欧におけるノルディックバランスを構築してきたとされる。ただ、冷戦に関しては、冷戦が「熱戦」になった場合にはNATOに合流して対ソ戦に対し参戦する、と決めていたことが冷戦後になって明らかになっている。

軍事訓練などにおいて、仮想上の敵はソビエトなどワルシャワ条約機構の加盟国だったが、国際関係上スウェーデンにとって特別な敵国は存在しなかった。しかしスウェーデンは、その中立的指向・単独主義ゆえに重武装を常としており、周辺国への警戒を怠ってはいない。なお、冷戦終結後のスウェーデンは中立主義を事実上放棄しており、国産の第4世代ジェット戦闘機であるサーブ 39 グリペンの開発にあたっては積極的にアメリカ合衆国およびアメリカ企業の技術支援を導入した。また、欧州・大西洋パートナーシップ理事会に参画するなど、かつての西側陣営を中心とした他国との協調関係を構築している。

詳しくは、それぞれの項を参照。

組織[編集]

軍事学校[編集]

  • 砲戦学校(ウプサラ)
  • 機甲戦術学校(ハームステッド)
  • 野外作業学校(ヴェクファ)
  • 空軍士官学校(ウプサラ)
  • パラシュート・レンジャー学校(カールスボーク)
  • ヘリコプター戦学校(リンシェビング)

文献情報[編集]

  • 児玉克哉「スウェーデンの防衛政策の一考察 : 非挑発的 防衛理論の実践」『人文論叢 : 三重大学人文学部文化学科研究紀要』第8号、三重大学人文学部、1991年3月、59-66頁、ISSN 0289-7253NAID 110000500245 

脚注[編集]

  1. ^ SFS 2010:448. Lag (1994:1809) om totalförsvarsplikt. Stockholm: Department of Justice. Lag (1994:1809) om totalförsvarsplikt” (スウェーデン語). www.lagen.nu. 2010年12月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年11月13日閲覧。
  2. ^ Personalsiffror”. Swedish Armed Forces. 2015年3月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年4月4日閲覧。
  3. ^ Statens budget i siffror” (スウェーデン語). Government Office of Sweden (2018年11月15日). 2019年4月13日閲覧。
  4. ^ Military expenditure by country as percentage of gross domestic product, 1988-2019”. Stockholm International Peace Research Institute. p. 13 (2020年). 2020年8月7日閲覧。
  5. ^ スウェーデン国防軍最高司令官の当省訪問について”. 防衛省 (2015年2月27日). 2015年5月19日閲覧。
  6. ^ “スウェーデン、徴兵制を復活 ロシアの脅威に対応”. CNN.co.jp (CNN). (2017年3月3日). http://www.cnn.co.jp/world/35097516.html 2017年3月3日閲覧。 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]