サッカーベルギー代表

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サッカーベルギー代表
国または地域 ベルギーの旗 ベルギー
協会 ベルギーサッカー協会
FIFAコード BEL
愛称 赤い悪魔 (蘭語: Rode Duivels
/仏語: Diables Rouges)
監督 イタリアの旗ドイツの旗 ドメニコ・テデスコ
最多出場選手 ヤン・フェルトンゲン(151試合)
最多得点選手 ロメル・ルカク(78得点)
ホームカラー
アウェイカラー
初の国際試合 1904年5月1日フランス
3-3
最大差勝利試合 2001年2月28日サンマリノ
10-1
最大差敗戦試合 1909年4月8日イングランド (アマチュア)
2-11
FIFAワールドカップ
出場回数 14回(初出場は1930
最高成績 3位 (2018)
UEFA欧州選手権
出場回数 6回
最高成績 準優勝 (1980)

サッカーベルギー代表(サッカーベルギーだいひょう、オランダ語: Belgisch voetbalelftal, フランス語: Equipe de Belgique de football)は、ベルギーサッカー協会(KBVB / URBSFA)によって構成される、ベルギーサッカーナショナルチームである。愛称は「ベネルクスの赤い悪魔」。

歴史[編集]

1980年代 - 1990年代[編集]

ベルギー代表は、FIFAワールドカップには第1回大会から3大会連続出場の実績を持つチームである。1980年代に入り、ヤン・クーレマンスジャン・マリー・プファフエリック・ゲレツらが台頭してから隆盛を迎えた。UEFA欧州選手権1980では、地元イタリアを抑えて決勝に進出し準優勝に輝く。1982 FIFAワールドカップでは、開幕戦でディエゴ・マラドーナらを擁する前回優勝国のアルゼンチンを1-0で破るという番狂わせを演じ、ワールドカップ出場6回目で初めてグループリーグを突破した。エンツォ・シーフォジョルジュ・グルンらが加わった1986 FIFAワールドカップでは、欧州予選プレーオフで隣国でもあるオランダと対戦し、アウェイの第2戦でオランダの出場権獲得が迫っていた中で挙げた85分のゴールによってアウェイゴールルールでの突破を果たした。本大会でもグループリーグ3位と苦しみながらも決勝トーナメントに進出し、ソ連スペインを立て続けに破って初のベスト4となる4位に躍進した。

その後も、ベルギー代表はシーフォらを中核に1990年1994年1998年と3大会連続で本大会出場を果たし、1990年と1994年大会ではベスト16に進出した。ちなみに、参加24ヶ国6グループ制だった時代に1990,1994と2大会連続で第1シード権を得るなどした。

2000年代 - 2020年代[編集]

UEFA欧州選手権ではUEFA EURO 2000をオランダと共催したが1勝2敗でグループリーグ敗退に終わり、FIFAワールドカップと欧州選手権で続いていた「開催国は必ず一次リーグを突破する」という伝統が初めて崩れた。2002 FIFAワールドカップではマルク・ヴィルモッツらを擁しベスト16に進出するがブラジルに敗れ世代交代に失敗、ベルギー代表もこの大会を最後にワールドカップ、欧州選手権共に予選敗退が続き、2010年にはFIFAランク68位まで後退した。しかし、その後はユース世代の育成改革が成功するとエデン・アザールケヴィン・デ・ブライネロメル・ルカク黄金世代の選手が次々と現れ始め、国際大会でも優勝候補の一角と目され始めた。2013年10月11日、ヨーロッパ予選グループAで首位通過を決め、3大会ぶりにFIFAワールドカップへ出場することになった。本大会ではグループリーグHに入り、3連勝で首位を通過すると、ラウンドオブ16では延長戦でアメリカに勝利し1986年大会以来、28年ぶりにベスト8へと進出した。準々決勝では、アルゼンチンの前に敗れた。

2015年11月5日付のFIFAランキングで、史上8ヶ国目の1位となった。UEFA EURO 2016では4大会ぶりに本大会へ出場し、ベスト8まで進出するも準々決勝でウェールズに敗れた。2018 FIFAワールドカップ・ヨーロッパ予選ではグループHで9勝1分け(総得点43点)という圧倒的な強さを見せ、欧州一番乗りで本大会の出場権を獲得した。本大会ではグループGを3戦全勝で首位を通過、決勝トーナメント1回戦では日本に3-2と大逆転勝ちを収めると、準々決勝ではブラジルを2-1で退けた。準決勝ではフランスと対戦して0-1で敗れはしたが、3位決定戦ではイングランドに2-0で勝利して強豪国ともほぼ互角に渡り合い、1986年大会を上回る3位に輝いた。また、1年延期されたUEFA EURO 2020では、2大会連続で準々決勝で敗退している。

前回大会3位を超える初優勝を目指して挑んだ2022 FIFAワールドカップグループFに入り、初戦で36年ぶりの本大会出場となるカナダと対戦した。カナダ戦をティボ・クルトゥワのPKストップやミシー・バチュアイのゴールで1-0で勝利したことにより、W杯のグループリーグでの連勝記録を最多タイの「8」にまで伸ばした[1]。勝利すれば3大会連続の決勝トーナメント進出が決まるモロッコとの第2戦は、前半こそケヴィン・デ・ブライネトルガン・アザールを中心に押し込む展開を作るが73分にセットプレーから失点すると、終了間際にも追加点を奪われ0-2で敗れた[2][3]。勝利以外ではグループステージで敗退の可能性が高い状況で挑んだ前回大会準優勝クロアチア戦でもなかなか得点を奪えず、後半にロメル・ルカクら攻撃的な選手を投入したものの、最後まで再三の決定機を生かすことができないままスコアレスで試合終了となり、グループステージ敗退となった[4][5]。試合後の会見で、2016年からベルギーの代表監督を務めたロベルト・マルティネスが退任することを表明[6][7]。さらにその数日後にはベルギー代表の黄金世代の1人であり、この大会にチームのキャプテンとして臨んだエデン・アザールが代表引退を表明した[8]

2023年2月8日、カタールW杯終了後に退任したロベルト・マルティネスの後任に、ドメニコ・テデスコが監督に就任[9]。3月23日にはW杯終了後に代表引退したエデン・アザールの後任にケヴィン・デ・ブライネがキャプテンに就任した(ベルギーの副キャプテンにはティボー・クルトワとロメル・ルカクが選出されている)[10]

成績[編集]

FIFAワールドカップ[編集]

開催国 / 年 成績
ウルグアイの旗 1930 グループリーグ敗退 2 0 0 2 0 4
イタリア王国の旗 1934 1回戦敗退 1 0 0 1 2 5
フランスの旗 1938 1 0 0 1 1 3
ブラジルの旗 1950 出場辞退
スイスの旗 1954 グループリーグ敗退 2 0 1 1 5 8
スウェーデンの旗 1958 予選敗退
チリの旗 1962
イングランドの旗 1966
メキシコの旗 1970 グループリーグ敗退 3 1 0 2 4 5
西ドイツの旗 1974 予選敗退
アルゼンチンの旗 1978
スペインの旗 1982 2次リーグ敗退 5 2 1 2 3 5
メキシコの旗 1986 4位 7 2 2 3 12 15
イタリアの旗 1990 ベスト16 4 2 0 2 6 4
アメリカ合衆国の旗 1994 4 2 0 2 4 4
フランスの旗 1998 グループリーグ敗退 3 0 3 0 3 3
日本の旗大韓民国の旗 2002 ベスト16 4 1 2 1 6 7
ドイツの旗 2006 予選敗退
南アフリカ共和国の旗 2010
ブラジルの旗 2014 ベスト8 5 4 0 1 6 3
ロシアの旗 2018 3位 7 6 0 1 16 6
カタールの旗 2022 グループリーグ敗退 3 1 1 1 1 2
合計 出場14回 51 21 10 20 69 74

UEFA欧州選手権[編集]

開催国 / 年 成績
フランスの旗 1960 予選敗退
スペインの旗 1964
イタリアの旗 1968
ベルギーの旗 1972 3位 2 1 0 1 3 3
ユーゴスラビアの旗 1976 予選敗退
イタリアの旗 1980 準優勝 4 1 2 1 4 4
フランスの旗 1984 グループリーグ敗退 3 1 0 2 4 8
西ドイツの旗 1988 予選敗退
スウェーデンの旗 1992
イングランドの旗 1996
ベルギーの旗オランダの旗 2000 グループリーグ敗退 3 1 0 2 2 5
ポルトガルの旗 2004 予選敗退
オーストリアの旗スイスの旗 2008
ポーランドの旗ウクライナの旗 2012
フランスの旗 2016 ベスト8 5 3 0 2 9 5
欧州連合の旗 2021 ベスト8 5 4 0 1 9 3
合計 出場6回 22 11 2 9 31 28

オリンピック[編集]

開催年 結果
フランスの旗 1900 銅メダル 1 0 0 1 2 6
アメリカ合衆国の旗 1904 不参加
イギリスの旗 1908
スウェーデンの旗 1912
ベルギーの旗 1920 金メダル 3 3 0 0 8 1
フランスの旗 1924 ベスト16 1 0 0 1 1 8
オランダの旗 1928 ベスト8 3 1 0 2 9 12
ドイツ 1936 不参加
イギリスの旗 1948
フィンランドの旗 1952
オーストラリアの旗 1956
イタリアの旗 1960
日本の旗 1964
メキシコの旗 1968
ドイツの旗 1972
カナダの旗 1976
ソビエト連邦の旗 1980 予選敗退
アメリカ合衆国の旗 1984
大韓民国の旗 1988 不参加
通算 最高成績 : 金メダル
18大会中/4回出場
8 4 0 4 11 25

現招集メンバー[編集]

UEFA EURO 2020と直前に行われる親善試合のギリシャ戦とクロアチア戦に向けて発表された26人のメンバー[11]。監督はスペイン人ロベルト・マルティネス。キャップとゴール数は、2021年5月30日に行われたベラルーシ戦を反映したもの。

No. Pos. 選手名 生年月日(年齢) 出場数 ゴール 在籍クラブ
GK ティボ・クルトゥワ (1992-05-11)1992年5月11日(29歳) 83 0 スペインの旗 レアル・マドリード
GK シモン・ミニョレ (1988-03-06)1988年3月6日(33歳) 30 0 ベルギーの旗 クラブ・ブルッヘ
GK マッツ・セルス (1992-02-26)1992年2月26日(29歳) 0 0 フランスの旗 ストラスブール
DF ヤン・フェルトンゲン (1987-04-24)1987年4月24日(34歳) 126 9 ポルトガルの旗 ベンフィカ
DF トビー・アルデルヴェイレルト (1989-03-02)1989年3月2日(32歳) 107 5 イングランドの旗 トッテナム・ホットスパー
DF トーマス・フェルメーレン (1985-11-14)1985年11月14日(35歳) 79 2 日本の旗 ヴィッセル神戸
DF トーマス・ムニエ (1991-09-12)1991年9月12日(29歳) 46 7 ドイツの旗 ボルシア・ドルトムント
DF ジェイソン・デナイヤー (1995-06-28)1995年6月28日(25歳) 23 1 フランスの旗 オリンピック・リヨン
DF デドリック・ボヤタ (1990-11-28)1990年11月28日(30歳) 22 0 ドイツの旗 ヘルタ・ベルリン
DF レアンデル・デンドンケル (1995-04-15)1995年4月15日(26歳) 15 0 イングランドの旗 アストン・ヴィラ
DF ティモシー・カスターニュ (1995-12-05)1995年12月5日(25歳) 13 2 イングランドの旗 レスター・シティ
MF アクセル・ヴィツェル (1989-01-12)1989年1月12日(32歳) 110 10 ドイツの旗 ボルシア・ドルトムント
MF ケヴィン・デ・ブライネ (1991-06-28)1991年6月28日(29歳) 80 21 イングランドの旗 マンチェスター・シティ
MF ナセル・シャドリ (1989-08-02)1989年8月2日(31歳) 62 8 トルコの旗 イスタンブール・バシャクシェヒル
MF ヤニック・カラスコ (1993-09-04)1993年9月4日(27歳) 44 6 スペインの旗 アトレティコ・マドリード
MF ユーリ・ティーレマンス (1997-05-07)1997年5月7日(24歳) 37 4 イングランドの旗 レスター・シティ
MF トルガン・アザール (1993-03-29)1993年3月29日(28歳) 33 5 ドイツの旗 ボルシア・ドルトムント
MF デニス・プラート (1994-05-14)1994年5月14日(27歳) 10 1 イングランドの旗 レスター・シティ
MF ハンス・ファナケン (1992-08-24)1992年8月24日(28歳) 9 2 ベルギーの旗 クラブ・ブルッヘ
FW エデン・アザール (1991-01-07)1991年1月7日(30歳) 106 32 スペインの旗 レアル・マドリード
FW ドリース・メルテンス (1987-05-06)1987年5月6日(34歳) 96 21 イタリアの旗 ナポリ
FW ロメル・ルカク (1993-05-19)1993年5月19日(28歳) 91 59 イタリアの旗 ローマ
FW クリスティアン・ベンテケ (1990-12-03)1990年12月3日(30歳) 39 16 イングランドの旗 クリスタル・パレス
FW ミシー・バチュアイ (1993-10-02)1993年10月2日(27歳) 33 21 イングランドの旗 クリスタル・パレス
FW ジェレミー・ドク (2002-05-27)2002年5月27日(19歳) 6 2 イングランドの旗 マンチェスター・シティ
FW レアンドロ・トロサール (1994-12-04)1994年12月4日(26歳) 6 2 イングランドの旗 アーセナル

歴代記録[編集]

出場数ランキング[編集]

2023年10月18日時点

  水色は現役代表選手
順位 名前 出場 期間
1 ヤン・フェルトンゲン 151 2007-
2 アクセル・ヴィツェル 130 2008-2022
3 エデン・アザール 126 2008-2022
トビー・アルデルヴァイレルト 2009–2022
5 ロメル・ルカク 111 2010-
6 ドリース・メルテンス 109 2011–
7 ティボ・クルトゥワ 102 2011-
8 ケヴィン・デ・ブライネ 99 2010-
9 ヤン・クーレマンス 96 1977-1991
10 ティミー・シモンス 94 2001-2016

得点数ランキング[編集]

2023年10月18日時点

  水色は現役代表選手
順位 名前 得点 期間
1 ロメル・ルカク 78 2010-
2 エデン・アザール 33 2008-2022
3 ベルナルド・ヴォールホーフ英語版 30 1928-1940
ポール・ヴァン・ヒムスト 1960–1974
5 マルク・ヴィルモッツ 28 1990-2002
6 ジョゼフ・メルマン英語版 27 1945-1956
ミシー・バチュアイ 2015-
8 ロベルト・デ・フェーン英語版 26 1906-1913
レイモンド・ブライネ英語版 1925–1939
ケヴィン・デ・ブライネ 2010-

歴代監督[編集]

歴代選手[編集]

脚注[編集]

  1. ^ ベルギーが白星スタート!バチュアイ弾&クルトワPKストップでカナダに勝ち点譲らず”. Goal.com (2022年11月24日). 2022年12月8日閲覧。
  2. ^ 【動画】モロッコがタレント軍団ベルギーを撃破!W杯で24年ぶりの勝利を手に”. Goal.com (2022年11月27日). 2022年12月8日閲覧。
  3. ^ ベルギー黄金世代は終わった…モロッコ戦衝撃黒星で勝者と敗者は?”. Goal.com (2022年11月28日). 2023年12月21日閲覧。
  4. ^ 世界ランク2位のベルギー代表、まさかのGS敗退…前回準優勝クロアチアが決勝Tへ、日本がスペインに勝利なら対戦濃厚に”. Goal.com (2022年12月2日). 2022年12月8日閲覧。
  5. ^ まさかのGS敗退。絶望的な結果に終わったベルギーの勝者と敗者”. Goal.com (2022年12月2日). 2023年12月21日閲覧。
  6. ^ ベルギー代表まさかのGS敗退、マルティネス監督が退任…黄金世代スター軍団、一時代の終焉に”. Goal.com (2022年12月2日). 2022年12月8日閲覧。
  7. ^ 敗退決定でベルギー代表監督退任…マルティネスに後悔なし「再び本来の姿になれた。顔を上げて去りたい」”. Goal.com (2022年12月2日). 2023年12月21日閲覧。
  8. ^ エデン・アザールがベルギー代表引退を発表「愛してくれてありがとう」”. Goal.com (2022年12月7日). 2022年12月8日閲覧。
  9. ^ ベルギー代表の新監督は37歳・テデスコ氏に決定…過去にはシャルケやライプツィヒで指揮”. Goal.com (2023年2月8日). 2023年12月19日閲覧。
  10. ^ ベルギー代表新主将はデ・ブライネに決定…代表引退エデン・アザールの後任に”. Goal.com (2023年3月23日). 2023年12月19日閲覧。
  11. ^ Selection of the Red Devils for EURO 2020 has been announced”. ベルギーサッカー協会 (2021年5月17日). 2021年5月17日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]