「発車メロディ」の版間の差分

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==歴史==
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[[1970年]]に[[京阪電気鉄道]]・[[淀屋橋駅]]で発車メロディの使用が開始されたのが最初といわれているが、一般には[[日本国有鉄道|旧国鉄]]や[[私鉄]]とも、[[電鈴|ベル]]や[[ブザー]]が使われていた
[[1970年]]に[[京阪電気鉄道]]・[[淀屋橋駅]]で発車メロディの使用が開始されたのが最初といわれている。


一方現在一番多くのメロディを使用するJR東日本では、旧国鉄時代の1970年代後半から電子音化したベル(「ピロピロピロ」という音)を使用していたが、多数の駅利用客から耳障りであるなどと不評であった。その為[[1988年]]の[[千葉駅]]での発車ベル廃止を経て、[[1989年]]に音響機器・楽器メーカーとして知られる[[ヤマハ]]に新しい発車メロディ放送システムを開発させ、[[新宿駅]]と[[渋谷駅]]に導入した。この[[ピアノ]]や[[鈴]]、[[ハープ]]といった音色と、人の心を落ち着かせる感じのメロディを採用した。
1970年代後半に入ると、電子音化したベル(「ピロピロピロ」という音)に代わっていったが、それでも非常にけたたましく、駅利用客から耳障りだなどと悪評だった。


1990年代に入り、初期の発車メロディが好評を博したことを受け他駅でも導入の機運が高まりまったが、以後の導入に関してはコストダウンをはかったシステムが採用された。採用された中でも代表的な会社が音響機器メーカーの[[日本電音|UNI-PEX]](ユニペックス)で、「清流」、「雲を友として」など、オカリナ奏者[[宗次郎]]のメロディを採用した。なお、これらのメロディは東京近郊の駅で導入されていたが、[[著作権]]の関係で同社東京支社、八王子、大宮、千葉支社管内の駅では2005年3月頃に相次いで新勢力の[[サウンドファクトリー]]製などに変えられた。しかしそれ以外の支社に含まれるごく少数の駅では現在でも使用され、ファンからは重宝されている。
このため、JR東日本では、[[1988年]]の[[千葉駅]]での発車ベル廃止を経て、[[1989年]]に新しい発車メロディ放送システムを開発、[[新宿駅]]と[[渋谷駅]]に導入した。このシステムは音響機器・楽器メーカーとして知られる[[ヤマハ]]が担当したもので、[[ピアノ]]や[[鈴]]、[[ハープ]]といった音色と、人の心を落ち着かせる感じのメロディを採用した。

90年代に入り、初期の発車メロディが好評を博したことを受けて、他線区でもこれを導入しようという事になり、コストダウンをはかった後継システムを開発した。これを担当したのは音響機器メーカーの[[日本電音|UNI-PEX]](ユニペックス)で、
「清流」、「雲を友として」など、オカリナ奏者[[宗次郎]]のメロディを制作した。これらのメロディーは都心部を中心とする駅で導入されていたが、[[著作権]]の関係で[[南武線]][[武蔵小杉駅]]と[[上越線]][[高崎問屋町駅]]以外の駅では2005年3月に変更が相次ぎ、新勢力の[[サウンドファクトリー]]製に変えられている。


この後、東洋メディアリンクス、テイチク、サウンドファクトリーなどが数々の曲を制作、[[首都圏]]から[[東北]]地方までと東日本全体で採用されている。
この後、東洋メディアリンクス、テイチク、サウンドファクトリーなどが数々の曲を制作、[[首都圏]]から[[東北]]地方までと東日本全体で採用されている。
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なお、列車発車時に使用されるメロディー・チャイム・ベル・ブザー等を一纏めにして「'''発車ベル(類)'''」と呼ぶこともある。
なお、列車発車時に使用されるメロディー・チャイム・ベル・ブザー等を一纏めにして「'''発車ベル'''」と呼ぶこともある。


==発車メロディの種類==
==発車メロディの種類==
===JR東日本での特徴的なもの===
===JR東日本での特徴的なもの===
*[[ムーンリバー]]
**[[常磐緩行線]][[北小金駅]]・[[東北本線]][[土呂駅]]・[[東北本線]][[野木駅]](3駅とも上り線)

*[[津軽じょんがら節]]
*[[津軽じょんがら節]]
**[[奥羽本線]][[弘前駅]]([[2004年]][[12月12日]]より)
**[[奥羽本線]][[弘前駅]]([[2004年]][[12月12日]]より)
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*[[アントニオ・ヴィヴァルディ|ヴィヴァルディ]]作曲 「四季」より~春~第一楽章・~秋~第三楽章 
*[[アントニオ・ヴィヴァルディ|ヴィヴァルディ]]作曲 「四季」より~春~第一楽章・~秋~第三楽章 
*:[[大井町駅]]・[[高尾駅_(東京都)|高尾駅]]で使用されている。[[1993年]]より大井町駅で使用され、首都圏でもっとも古い「ご当地メロディである。
*:[[大井町駅]]・[[高尾駅_(東京都)|高尾駅]]で使用されている。[[1993年]]より大井町駅で使用され、首都圏では広く一般に知られた曲を初めて採用した発車メロディである。


*[[鉄道唱歌]]
*[[鉄道唱歌]]
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*[[蒲田行進曲]]テーマ曲
*[[蒲田行進曲]]テーマ曲
*:[[京浜東北線]][[蒲田駅]]([[1997年]][[2月22日]]より)
*:[[京浜東北線]][[蒲田駅]]


*[[ヱビスビール]]CMソング [[アントン・カラス]] 「[[第三の男]]」
*[[ヱビスビール]]CMソング [[アントン・カラス]] 「[[第三の男]]」
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*[[阿波踊り]]
*[[阿波踊り]]
**[[中央線]][[高円寺駅]](2004年8月1日から29日まで、現在は使用ていない
**[[中央線]][[高円寺駅]](2004年から毎年8月使用とアナウンスされてい

*その他
駅によっては[[ムーンリバー]]やアマリリス、牧場の朝などの童謡、唱歌が用いられる事もある。
但し特に駅にちなんで採用されたというものではないことが多い。



===JR西日本===
===JR西日本===
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==備考==
==備考==
*導入コストや楽曲に対する[[著作権]]の問題からか、JR東日本以外の[[JR]]各社や[[私鉄]]、[[地下鉄]]では採用している駅は少数である。また、JR東日本管でも、東北地方は主要駅を除き採用している駅は少数である。
*導入コストや楽曲に対する[[著作権]]の問題からか、JR東日本以外の[[JR]]各社や[[私鉄]]、[[地下鉄]]では採用している駅は少数である。また、JR東日本管でも、東北、信越地方は主要駅を除き採用している駅は少数である。
*また、これらの発車メロディが一方では好評である反面、「うるさい」「騒音だ」などと訴える利用客・駅周辺住民も存在する。「発車の合図は従来のベルや笛、もしくは何もなくてもいいのではないか」などの意見も挙がっている。
*また、これらの発車メロディが一方では好評である反面、「うるさい」「騒音だ」などと訴える利用客・駅周辺住民も存在する。「発車の合図は従来のベルや笛、もしくは何もなくてもいいのではないか」などの意見も挙がっている。



2005年7月22日 (金) 19:16時点における版

発車メロディ(はっしゃメロディ)とは、鉄道駅において、乗降中の利用者に列車が発車することを音楽によって伝えるための放送手段、あるいはそのシステム。現在はJR東日本の東京近郊地区を中心に広まっている。

鉄道ファンの間では発メロ(はつめろ)、駅音(えきおん)などとよばれる。

ファイル:Hassya switch.jpg
首都圏の標準的な発車ベルスイッチ
発車ベルスイッチの光波タイプ。赤のランプが点灯している時は曲を鳴らすことができない

歴史

1970年京阪電気鉄道淀屋橋駅で発車メロディの使用が開始されたのが最初といわれている。

一方、現在一番多くのメロディを使用するJR東日本では、旧国鉄時代の1970年代後半から電子音化したベル(「ピロピロピロ」という音)を使用していたが、多数の駅利用客から耳障りであるなどと不評であった。その為1988年千葉駅での発車ベル廃止を経て、1989年に音響機器・楽器メーカーとして知られるヤマハに新しい発車メロディ放送システムを開発させ、新宿駅渋谷駅に導入した。この際ピアノハープといった音色と、人の心を落ち着かせる感じのメロディを採用した。

1990年代に入り、初期の発車メロディが好評を博したことを受け他駅でも導入の機運が高まりまったが、以後の導入に関してはコストダウンをはかったシステムが採用された。採用された中でも代表的な会社が音響機器メーカーのUNI-PEX(ユニペックス)で、「清流」、「雲を友として」など、オカリナ奏者宗次郎のメロディを採用した。なお、これらのメロディは東京近郊の駅で導入されていたが、著作権の関係で同社東京支社、八王子、大宮、千葉支社管内の駅では2005年3月頃に相次いで新勢力のサウンドファクトリー製などに変えられた。しかしそれ以外の支社に含まれるごく少数の駅では現在でも使用され、ファンからは重宝されている。

この後、東洋メディアリンクス、テイチク、サウンドファクトリーなどが数々の曲を制作、首都圏から東北地方までと東日本全体で採用されている。

最近では、高田馬場駅新座駅鉄腕アトムのテーマ曲を使うなど、駅に関連するトピックに関連した曲を使う場合もある。


なお、列車発車時に使用されるメロディー・チャイム・ベル・ブザー等を一纏めにして「発車ベル」と呼ぶこともある。

発車メロディの種類

JR東日本での特徴的なもの

  • ヴィヴァルディ作曲 「四季」より~春~第一楽章・~秋~第三楽章 
    大井町駅高尾駅で使用されている。1993年より大井町駅で使用され、首都圏では広く一般に知られた曲を初めて採用した発車メロディである。
  • 鉄道唱歌
    東海道線品川駅で導入されている。
  • A Sea Bird(船出と航海、旅のスタート)・Sea Green (旅立ちと帰郷)
    宮城県石巻市出身の作曲家和泉耕二が作曲。2002年2月2日に石巻駅の仙石線ホームに導入された。石巻駅では、平日と休日で使用される曲が異なり、前者は平日に、後者は休日に使用される。
  • その他

駅によってはムーンリバーやアマリリス、牧場の朝などの童謡、唱歌が用いられる事もある。 但し特に駅にちなんで採用されたというものではないことが多い。


JR西日本

  • 北陸地区で使われている。
  • 1999年のダイヤ改正時から2003年12月まで、大阪環状線で発車用のメロディが流れていたが、現在は接近放送時のメロディしか流れていない。

私鉄など

備考

  • 導入コストや楽曲に対する著作権の問題からか、JR東日本以外のJR各社や私鉄地下鉄では採用している駅は少数である。また、JR東日本管内でも、東北、信越地方は主要駅を除き採用している駅は少数である。
  • また、これらの発車メロディが一方では好評である反面、「うるさい」「騒音だ」などと訴える利用客・駅周辺住民も存在する。「発車の合図は従来のベルや笛、もしくは何もなくてもいいのではないか」などの意見も挙がっている。


接近メロディ

接近メロディ(せっきんメロディ)とは、鉄道駅の利用者に列車の接近を音楽によって伝えるための放送手段、あるいはそのシステム。全国に普及している。

数音程度のシンプルなチャイムを使用している例が多い一方で、既存のよく知られた曲をメロディとして使用している駅もある。

  • JR西日本の岡山支社管内(主要駅)では、列車接近時に童謡や歌謡曲が自動放送と共に流れる。また、金沢支社管内(小~中規模駅)では、列車の接近を表示すると共に、童謡やクラシックの曲が流される機械が設置されている。
  • 阪神電気鉄道では、梅田駅を除く全駅で1990年から停車列車の接近放送開始時に「線路は続くよどこまでも」を流している。

関連項目

外部リンク